ここ数年で宅配サービスの利便性は大きく進化しました。
その中でも最近よく聞くのが置き配です。対面での受け取りがなく、時間や場所を気にせず荷物を受け取れる便利な置き配は、多くの宅配業者や通販サイトで活用されています。
一方で、置き配が標準化となりつつある今、年々増加しつつあるトラブル。
盗難や誤配、破損といった報告が後を絶たず、消費者・配送業者ともに新たな課題に悩まされています。
この記事では、置き配の標準化の背景と、起こりやすいトラブルとその対策について詳しく解説します。
置き配とは?その仕組みと背景
置き配とは、配達員が荷物を届けた家の人が不在時でも、前もって決められた場所(玄関前、宅配ボックスや車庫など)に荷物を置いていく方法です。
受け取りの手間も省け、再配達の手間も減ることから、特に共働き世帯や一人暮らしの方など多く利用されています。
置き配が普及した背景には以下の要因があります
2020年以降、大手通販サイト(Amazonや楽天など)でも「置き配」が通常設定になるケースが増えており、「標準」として認識されるようになっています。
置き配のトラブル事例と現状

置き配は便利なんだけど、トラブルも多そう!
トラブルの代表的な例を紹介します。
トラブル①:盗難・紛失
置き配最大のリスクは「盗難」です。
玄関先やマンションやアパートの共有スペースに届けられた荷物は、目につきやすく、だれかに盗まれる可能性が高くなります。
実際、SNSやニュースでも「荷物が盗まれた」「中身だけとられた」といったニュースをよく耳にします。
トラブル②:誤配・配達ミス
近隣の家に誤って置かれる「誤配」も、置き配トラブルでは多いです。
特にアパートやマンションなどの集合住宅では、同じドアが並んでいるため玄関前の見分けがつきにくく、違う部屋に誤って置かれてしまうケースが起こりやすいです。
「同じ表札の漢字違い」「住所の番地違い」など、宅配業者のミスもあり、受け取り確認の方法がないと届かない荷物を見つけるのにも時間がかかってしまいます。
トラブル③:破損・雨濡れ
置き配の場所のよっては、荷物が雨に濡れたり、日に当たりすぎて配達物が傷んだりすることもあります。
また、地面に直接置かれ底面が破れたり、 割れ物注意の荷物でも何かの拍子で破損する事も少なくありません。
特に食べ物や機械物などは、温度・湿度の変化にも弱いため、置き配してもらう所は、屋根のある所やボックスの中を選ぶとよいでしょう。
利用者ができるトラブル対策5選
置き配を安心して使うには、配送業者だけでなく、利用者自身の工夫も欠かせません。
ここでは、盗難や破損などのリスクを減らすための効果的な対策を5つ紹介します。
置き配の場所を詳細に記載する

置き配してもらう場所は、できるだけ詳しく記載するのがポイントです。
たとえば「玄関前」だけでなく、「玄関にある傘立ての後ろ」「ポスト下の宅配ボックス内」という風にもうひとつプラスして伝えるのがおすすめ。
ほかの人には見えにくい、かつ配達員がすぐに分かる場所を伝えましょう。
また、マンションなどの集合住宅では、マンションごとに置き配のルールが違うので、それぞれの管理ルールに沿った場所を明示しておくことも重要です。
防犯カメラやセンサーライトを設置する

盗難防止には「見られている」と意識させることが有効です。
玄関やちょっとしたスペースなど、荷物を置かれる可能性のある場所に防犯カメラやセンサーライトを設置すれば、盗難を抑制できます。
最近では、スマホアプリと連動し、映像をリアルタイムで確認できるタイプのカメラも増えています。
設置が難しい場合は、防犯カメラ風ダミーや「録画中」と書かれたステッカーでも一定の効果がありますよ。
宅配ボックスの利用
宅配ボックスを設置すれば、置き配によるトラブルを大幅に減らすことができます。
盗難や雨濡れ、直射日光による劣化などを防げるうえ、配達員も安心して荷物を預けられます。
鍵付きタイプや折りたたみ式の簡易タイプなど、用途や設置スペースに合わせて選べるのも魅力です。
自治体によっては、宅配ボックス購入に補助金が出る場合もあるため、導入前に確認してみましょう。
通知メール・アプリでリアルタイム確認
多くの宅配サービスでは、配達完了後にメールやアプリ通知で知らせてくれます。
知らせてくれたタイミングで確認できると、長い時間、荷物を放置する事を回避でき、盗難にあうリスクも減ります。
特にAmazonやヤマト運輸では、配達写真をアプリ上で見れるので、置き配された場所は正しく安全な場所かすぐにチェックできます。
配達日時を決めておく
置き配でも、日時指定できるものは日時を決めておくのがおすすめです。
可能な限り在宅時に受け取れる時間帯を選ぶことで、荷物が外に放置される時間を短縮できます。
また、最近は「在宅時でも置き配が希望」というのも可能です。
これにより、配達員との対面を避けつつ、安全に受け取ることができます。
標準化に向けた配送業者の取り組み
置き配が一般的に活用される今、配送業者も「安全で確実な置き配」ができるようにさまざまな工夫を進めています。ここでは、主要な宅配企業の取り組みを紹介します。
配達写真の記録で「見える化」
ヤマト運輸やAmazonなどでは、配達完了時に「荷物を置いた写真」を撮影し、通知メールやアプリ上で確認できる仕組みを導入しています。
これにより、
荷物がどこに置かれたかをユーザーがすぐ確認できる
誤配や盗難が発生した場合の証拠として活用できる
など、トラブル抑止に大きく貢献しています。
また、AmazonではAIによる画像解析を行い、置き場所の安全性を自動チェックする実証実験も進んでいます。
配送ボックス・専用バッグの推奨
日本郵便や佐川急便では、玄関前や駐輪スペースに設置できる「簡易宅配ボックス」の利用を積極的に呼びかけています。
特に2024年以降は、再配達を減らすため、自治体と連携し補助金制度を設ける地域も増えています。
最近では、ホームセンターや100円ショップでも手軽に購入できるものもあり、設置のハードルが下がっています。
AIによる配達ルート・時間の最適化
AI技術を使い、配達ルートや時間帯をうまく利用する動きも広がっています。
ヤマト運輸の「AI動態管理システム」や日本郵便の「ゆうパケットポスト+AI配達支援」では、今までの地域ごとの配達データなどをもとに最も効率的なルートを提案。
不在リスクが高いエリアを避けることで、置き配や再配達のトラブルを未然に防ぐ取り組みが進んでいます。
まとめ:置き配は便利だが「準備」がカギ!
置き配は非常に便利なですが、それを安全に使うためには準備と対策が不可欠です。
今後、どうなっていくのかまだ分かりませんが、置き配の標準化を前提にトラブルに巻き込まれないよう工夫していくことが求められます。
「標準化」される前に今一度自宅の配達環境を見直し、便利さと安全性を両立させた、新しい宅配スタイルを賢く取り入れていきましょう。



コメント